立附たてつけ)” の例文
黒吉は、黙って、この饒舌おしゃべりな由子の傍を離れると、立附たてつけの悪い楽屋の床板を小さく鳴らしながら、あてもなく顔見世台の方へ歩いて行った。
夢鬼 (新字新仮名) / 蘭郁二郎(著)
いかさまふる建物たてものと思はれて、はしらさびがある。其代り唐紙からかみ立附たてつけが悪い。天井は真黒だ。洋燈許らんぷばかりが当世にひかつてゐる。
三四郎 (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)