立聴たちぎ)” の例文
折々立聴たちぎきをするということ、このほほえましい俗信はつい近頃まで、私の家などにも行われていたから、他にもまだ記憶する人がきっと多かろう。
海上の道 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
やがて庸三は受話機をいた。そして、廊下の端に誰か立聴たちぎきしているのに気がつくと、急いで二階へ上がった。
仮装人物 (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
ルパンは思案に暮れて黙考もっこうしていると、ビクトワールが電話室でドーブレクの電話を立聴たちぎいていた。
水晶の栓 (新字新仮名) / モーリス・ルブラン(著)
糸筋いとすじ手繰たぐってひそかに洞穴の口に近づいて立聴たちぎきすると。親子らしい大蛇がひそひそと話をしている。
山の人生 (新字新仮名) / 柳田国男(著)