“窃(そッ)” の例文
旧字:竊
家(うち)の横町の角迄来て擽(くすぐッ)たいような心持になって、窃(そッ)と其方角を観る。果してポチが門前へ迎えに出ている。私を看附(みつけ)るや、逸散(いっさん)に飛んで来て、飛付く、舐(な)める。
平凡 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
窃(そッ)と格子戸の中(うち)を覗いて見ると、赤い鼻緒や海老茶の鼻緒のすがった奇麗な駒下駄が三四足行儀よく並んだ中に、一足紫紺(しこん)の鼻緒の可愛らしいのが片隅に遠慮して小さく脱棄(ぬぎす)ててある。
平凡 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)