祖母様ばばさま)” の例文
わらはが隣の祖母様ばばさまは、きつい朝起きぢやが、この三月みつきヶ程は、毎朝毎朝、一番鶏も啼かぬあひだけしい鳥の啼声を空に聞くといふし、また人の噂では、先頃さきごろ摂津住吉の地震なゐ強く
南蛮寺門前 (新字旧仮名) / 木下杢太郎(著)
男衆も女衆も、その火を消すに、帳場から、何から、家中うちじゅうきりもりをしてござった彼家あのいえのお祖母様ばばさまが死なしゃった。人の生命いのちを、火よりさきへ助ければいものと、村方むらかたでは言うぞいの。
甲乙 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)