示顕じげん)” の例文
それはゆうべ判ったのだ——一種の示顕じげんを蒙ったように突然に判ったのだ。なんという単純なことだ——なんという怖ろしい単純だ!
神さまの御力みちからのこんな驚くべき示顕じげんのことを思うと、自分一個の生命いのちなどという取るにも足らぬことを考えるのはなんというばかげたことだろう、と考えはじめました。
楡葉にれはは頷いた。そして心ひそかに、わが子が百日の参籠とあの精進の結果、何ものか神霊の示顕じげんを得て、志す剣の工夫のうえに、一つの光明を掴み得たにちがいないと思った。
剣の四君子:03 林崎甚助 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「泣かでもよい、さてさておことはまたとない不思議な仏陀ぶっだ示顕じげんにお会いなされたの」
親鸞 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「が、まあ。ご安心なさるがよい。そういう示顕じげんのあるからには、おん大将がご帰京ある頃には、もう天師の神妙力にて、かならず、ご勅願はかなえられているに相違ございません」
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)