磨師とぎし)” の例文
鏡は丸いかねの鏡——夏になるとよく磨師とぎしに磨かせてゐましたが、とにかく黒ずんだ、沈んだ顏が鏡の底の底の方に生氣なくうつるのでした。
鏡二題 (旧字旧仮名) / 長谷川時雨(著)
すると或晩観音さまが夢枕にお立ちになって、『おと八、音八、仇を討ちたいとあらば磨師とぎしとなって時節を待て』
ぐうたら道中記 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
長いこと磨師とぎしの手にもかけないで、うっちゃらかしてあったのもその鏡である。
夜明け前:04 第二部下 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)