ちいさ)” の例文
私共が粕谷へ引越しの前日、東京からバケツと草箒くさぼうき持参で掃除に来た時、村の四辻よつつじで女の子をおぶった色の黒いちいさい六十爺さんに道を教えてもらいました。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
なりのちいさい、骨格の秀でた、どこか陰気な煤皺すすしわの寄ったような顔をしていた。
天狗 (新字新仮名) / 室生犀星(著)
彼も座って胡瓜の漬物をつまむ。羽織袴の幸吉さんが挨拶に来た。故人の弟である。故人は丈高いにがみ走った覇気満々たる男であったが、幸さんは人の好さそうなちいさい男だ。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
せいのちいさい私にはなりの高い人に見えた。
我が愛する詩人の伝記 (新字新仮名) / 室生犀星(著)
煙草たばこけむり。話声。彼真新しい欅の根株の火鉢を頻に撫でて色々に評価する手合てあいもある。米の値段の話から、六十近いちいさい真黒な剽軽ひょうきんな爺さんが、若かった頃米がやすかったことを話して
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)