矮樹わいじゅ)” の例文
土地が悪いため、海風が吹きつけるため、永久に育ち得ないそのままの姿で立っているような、低くて節くれ立った矮樹わいじゅの群であった。
石狩川 (新字新仮名) / 本庄陸男(著)
与吉が身体からだを入れようという家は、すぐ間近まぢかで、一ちょうばかりくと、たもとに一本暴風雨あらし根返ねがえして横様よこざまになったまま、半ば枯れて、半ば青々とした、あわれな銀杏いちょう矮樹わいじゅがある、橋が一個ひとつ
三尺角 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
この島に多いオヒエの矮樹わいじゅが、冬というのに、真紅の残り花を咲かせ、なかば枯れたように見える地表の草の中にも、黄色い花がまじっている。ここへくると、初めて小鳥の声を聞く。
黒い月の世界 (新字新仮名) / 中谷宇吉郎(著)
右には武光むこう岩、鬼岩、がま岩、帽子岩、ただ見あぐる岩石の突屹相とっきつそう乱錯相らんさくそう、飛躍相、蟠居相ばんきょそう、怪異相、趺坐相ふざそう相相である。点綴てんてつするには赤松がある、黒松がある、矮樹わいじゅがある、疎林がある。
木曾川 (新字新仮名) / 北原白秋(著)
矮樹わいじゅヤポランジイの枝に、二つの花が咲いた。
黒死館殺人事件 (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)