めまぐる)” の例文
たださえ暑い陽が一層めまぐるしく、じっとりと手足が汗ばんできて、痛いほど全身がこそぐり回されるような、気がしてくるのです。
墓が呼んでいる (新字新仮名) / 橘外男(著)
その他は皆夢にすぎない、うごめく奇形な夢の断片、偶然に舞い立つ原子のほこり、人を笑わせあるいは恐れさせつつ過ぎてゆくめまぐるしい旋風にすぎない。
頭脳の機関全体が調子を狂わして、ぱったり止って動かない部分とめまぐるしく回転する部分とがあった。
野ざらし (新字新仮名) / 豊島与志雄(著)
新聞はめまぐるしいほど、それ等の事を並べたてた。
乳色の靄 (新字新仮名) / 葉山嘉樹(著)
そして彼は元気よく祖母の後ろに坐って、祖母の痩せた頸筋と赤みがかった髪の毛とを、初めてのように珍らしく眺めながら、指先でめまぐるしいほど早くその肩を叩きだした。
同胞 (新字新仮名) / 豊島与志雄(著)