相青眼あいせいがん)” の例文
さっと両名は相青眼あいせいがんにつけた。——居並ぶ門人たちも佐兵衛も、小浪はことさら胸を躍らせ、呼吸を詰めてじっと見まもる。
初午試合討ち (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
相青眼あいせいがんというのか、彼も中段、典膳も中段に構えた。そしてふたりの剣尖から剣尖までのあいだは、十歩も離れていた。
剣の四君子:05 小野忠明 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
ぴたり——相青眼あいせいがん、すっきり爪立った栄三郎の姿に、板戸の引合せから隙見している弥生の顔がぽうっと紅をさした。
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)
竜之助にこの構えをとられると、文之丞はいやでも相青眼あいせいがん
意気地なくも——とはいうものの、あの時、あの庭の隅で、相青眼あいせいがんにかまえたままのにらみあいは、いまから思うと、まるで永遠のように長かった。
丹下左膳:02 こけ猿の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)