相生あひおひ)” の例文
湯島からかけて相生あひおひ橋、それから温泉のあるあたりまでは、扇頭の小景だといつてしまふことの出来ないあるものを持つてゐる。
あちこちの渓谷 (新字旧仮名) / 田山花袋田山録弥(著)
相迫つた斷崖の片側の中腹に在る一軒家で、その二階から斜め眞上に相生あひおひ橋が仰がれた。相生橋は群馬縣で第二番目に高い橋だといふ事である。
みなかみ紀行 (旧字旧仮名) / 若山牧水(著)
お前が松坂町の路地を通つたといふと、——俺は相生あひおひ町の河岸ツ縁を眞つ直ぐ歸つた、だから逢はなかつた——と言つた。
試みんと口には云しが汗のみ流れて足は重し平塚村といふに小高き森ありてよき松の樹多し四方晴れて風すゞしきに此の丘にのぼれば雌松雄松がひとつになりし相生あひおひあり珍しき事かなと馬を
木曽道中記 (旧字旧仮名) / 饗庭篁村(著)
 チツツン ツントン 相生あひおひまあつ……
桜さく島:春のかはたれ (新字旧仮名) / 竹久夢二(著)
あれは傳三へきつかけを知らせる合圖だつたのさ——月が良いのに相生あひおひ町の叔母の所から提灯を借りて來たのはその用意だ
親分、變なことになりましたよ。あの妾のお國の母親、本所相生あひおひ町の家へ、昨日晝のうちに行つて、——今夜は氣になることがあるから、お國さんを
最後に相生あひおひ町の叔母さんの家で宵を過して、元柳橋へ駈けつけた時は、もう相手のお京が、橋の袂の柳にもたれて、苛々いら/\しながら待つて居るのでした。
「お役人樣、——相生あひおひ町の佐奈屋のお孃さんが、こんなひどい目に逢ひました、どうぞ惡戯者いたづらものをつかまへて下さい」
「槍の穗は宇古木家に傳はる、何んとかの名槍ださうですよ。相生あひおひ町の前島左近の配偶つれあひ——宇古木兵馬の義理の妹が言ふんだから間違ひはありません」
明日はいよ/\主人將監が歸るといふ日、錢形平次は到頭青いお神籤みくじの曲者——實は久野將監しやうげんの家來進藤勝之助を本所相生あひおひ町の隱れ家に突きとめてしまひました。
相生あひおひ町の叔母さんのところへ行つた筈ですよ。二た晩とも——それから、今晩も行つたやうですが」
相生あひおひ町の小左衞門長屋、浪人前島左近の配偶つれあひぢや——この前の騷ぎの時も娘は留守であつたが」
相生あひおひ町のお華客とくいで、三百八十兩、小判で受取つたのは巳刻よつ少しまへでした。
「お前は何時ものやうに相生あひおひ町から河岸ツ縁を歸つたらう」
「八、相生あひおひ町の音次郎の叔母さんの家を知つて居るか」
「本所相生あひおひ町の裏長屋で」