目細めぼそ)” の例文
忽ち濛々もうもうとした霧の中に閉じ込められて、間もなく冷たいしずくがパラパラと落ちて来る中に、目細めぼその淋しく囀る声のみが耳に入るのであった。
大井川奥山の話 (新字新仮名) / 木暮理太郎(著)
附近の林の中で鶯や目細めぼそしきりに鳴いていた。それに交って郭公かっこうの声らしいものも聞えた。
黒部川を遡る (新字新仮名) / 木暮理太郎(著)
近くの木蔭で目細めぼそがもの錆びた声を鳴き交わす、東が白んで天が明け始めた。
黒部川奥の山旅 (新字新仮名) / 木暮理太郎(著)
明くる二十五日は、暁かけて鳴く鶯、駒鳥、目細めぼそなどの合唱で賑わった。午前七時に北沢の野営地を出発し、沢伝いに仙水峠に出で、駒津岳を経て駒ヶ岳の頂上に達したのは十一時であった。
鳴き声がゼニトリゼニトリと聞えるので、登山者の間には銭鳥で通っている目細めぼそや、淋しい声でヒヨーヒヨーと鳴くうそなども聞かれる。朝の雪渓は全く一しきり小鳥の合唱所のような観がある。
白馬岳 (新字新仮名) / 木暮理太郎(著)
後になってそれは目細めぼそであることを知った。
釜沢行 (新字新仮名) / 木暮理太郎(著)