白鬚橋しらひげばし)” の例文
あっしは十時に店を閉めて、お由が留守だから久し振りでたまへ行って見る気になりました。今戸から橋場はしばをぬけて白鬚橋しらひげばしを渡ったんです。
白蛇の死 (新字新仮名) / 海野十三(著)
上流の小松島から橋場はしばへわたる渡船も大正の初めには早く白鬚橋しらひげばしがかけられて乗る人がなくなったので、現在では隅田川に浮ぶ渡船はどこを眺めても見られなくなった。
水のながれ (新字新仮名) / 永井荷風(著)
そこで彼らは白鬚橋しらひげばし下から三分の力漕をして大連湾まで行った。いつの間にかそこらの陸にはほんとの春が来ていた。傍の工場主のやしきらしい庭内では椿つばきの花がぱっと咲いていた。
競漕 (新字新仮名) / 久米正雄(著)
運転手は、うなずくと、白鬚橋しらひげばしから浅草のほうへ戻りはじめた。
あなたも私も (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
「あ、そうだ、向島へ行こう。白鬚橋しらひげばしを渡って。」
桜林 (新字新仮名) / 小山清(著)
浅草下谷区内では○浅草新堀○御徒町忍川○天王橋かかりし鳥越川とりごえがわ白鬚橋しらひげばし瓦斯タンクの辺橋場のおもい川○千束町せんぞくまち小松橋かかりし溝○吉原遊郭周囲の鉄漿溝おはぐろどぶ○下谷二長町にちょうまち竹町辺の溝○三味線堀。
葛飾土産 (新字新仮名) / 永井荷風(著)