白糸しらいと)” の例文
たとひ洗足せんそくを求めたところで、おうなは水をんでれたかうだか、根の生えた居ずまひで、例の仕事に余念のなさ、小笹おざさを風が渡るかと……音につれて積る白糸しらいと
二世の契 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
富士川もよりには、和田わだ樋之上ひのかみの七、八百大島峠おおしまとうげにも三、四百余の旗指物はたさしもの、そのほか、津々美つつみ白糸しらいと門野もんののあたりにある兵をあわせておよそ三千あまり
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
喜多村は泉鏡花氏作「たき白糸しらいと」の、白糸という水芸みずげい太夫たゆうになっていた。
マダム貞奴 (新字新仮名) / 長谷川時雨(著)
この夏信州しんしゅう星野温泉ほしのおんせんから小瀬温泉こせおんせんまで散歩したとき途中で道の別れるところに一人若い男が休んでいたので、小瀬へはこちらでいいかと聞くと、それでは反対で白糸しらいとの滝へ行ってしまうという。
地図をながめて (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
「お前さんがそうやってると白糸しらいとがよさそうだね。」