痔疾じしつ)” の例文
戦地では身体を冷すためよく痔疾じしつが起ってくるしむものです。痔の出血をとめるにも今のゼラチンを食べるのが一番良いとしてあります。
食道楽:冬の巻 (新字新仮名) / 村井弦斎(著)
多少結核性の疑いもあるらしい痔疾じしつのためか、顔が病的な美しさをもっていて、目にうるんだ底光りがしていた。
仮装人物 (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
それは不図ふと彼が、生前痔疾じしつを病んだことを思い出したのだった。気をつけていると、寝具しんぐや、床の上までもその不快な血痕けっこんが、点々として附着しているのを発見した。
西湖の屍人 (新字新仮名) / 海野十三(著)
その一人が伯父おじの寿平次だった。長い痔疾じしつの全治した喜びのあまりに、同病相憐あいあわれんで来た伯父たちは夢中になって河岸をかけ回り、互いに祝意を表し合っているというところだった。
夜明け前:04 第二部下 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
森「痔疾じしつなんざアありやせんや、瘡毒とやついて仕舞っているから」
業平文治漂流奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
(一〇)痔疾じしつを治する呪術
妖怪学 (新字新仮名) / 井上円了(著)
庸三は葉子の痔疾じしつの手術に立ち会って以来、とかく彼女から遠ざかりがちな無精な自身を見出した。
仮装人物 (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
漢青年は遂に決心をして、家扶かふの孫火庭を呼んで、痔疾じしつの治療をしたいと云った。
西湖の屍人 (新字新仮名) / 海野十三(著)