疫病神やくびょうがみ)” の例文
すなわち鬼や疫病神やくびょうがみに知らしめるために、一種の示威運動としてこうするように、解釈している者も少なくはないのである。
山の人生 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
ジルノルマン家に対しては、ポンメルシーは一つの疫病神やくびょうがみにすぎなかった。一家のものは自分たちだけで思い通りに子供を育てるつもりだった。
疫病神やくびょうがみでも払うように手を振ってばかりいるので、せっかくの美人もつまらなそうに、立ち去ってしまった。
三国志:08 望蜀の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
なんにも知らずに行ったが最後、疫病神やくびょうがみがこっちへ乗り込んで来て、どんな目に逢うか判らなかったのです
疫病神やくびょうがみが出て采配さいはいを一つ振れば、五万十万のらない命が直ぐにそこへ集まるではないか、これからの拙者が一日に一人ずつ斬ってみたからとて知れたものじゃ
大菩薩峠:15 慢心和尚の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
「北条左母次郎さもじろう様。——二十七の無役だ。禄高三千二百石、殿様と言われる御身分だが、腕ができてかんが強くて、人付合いが嫌いで、御近所でも疫病神やくびょうがみのように恐れている」
銭形平次捕物控:126 辻斬 (新字新仮名) / 野村胡堂(著)
「勝手にしやがれ、疫病神やくびょうがみめ!」
その佐久間象山が、やっと、藩命で京坂の方へ、派遣されたので、百姓たちは、疫病神やくびょうがみでも追ったように
(新字新仮名) / 吉川英治(著)
そして出て来ると、家の中でいばり散らす。新聞というものは疫病神やくびょうがみだ。どれもそうだ。ドラポー・ブラン紙にしたって、記者のマルタンヴィルはジャコバン党だった。
その有様は、土地の疫病神やくびょうがみを退治してくれた勇者をもてなすの人気ですから、二人も安心です。
大菩薩峠:24 流転の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
この三、四年は疫病神やくびょうがみもどこへか封じ込められて、そのあらぶる手を人間の上に加えなかった。
玉藻の前 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
そうです、娘たちがいるんですよ。あなたのまわりに騒ぎ出します。駆けていきます。ここでは、男がいることは疫病神やくびょうがみがいるようなものです。ごらんのとおり、猛獣かなんぞのように私のひざにもこうして鈴を