畳々じょうじょう)” の例文
旧字:疊々
だから「建たなかった城のあと」で、畳々じょうじょうたる石垣と地下室と隧道とんねるが草にうずもれ、大きな松タアル小さな松グロウ——青苔で足が滑る。
踊る地平線:05 白夜幻想曲 (新字新仮名) / 谷譲次(著)
自分は秋の夜の静寂のうち畳々じょうじょうとして波の如く次第に奥深く重なって行くその屋根と、海のように平かな敷地の片隅に立ち並ぶ石燈籠いしどうろうの影をば
霊廟 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
またもや谷は静寂しずけさに返り、鳥の啼く声さえも聞こえない。畳々じょうじょうと重なりすくすくと聳えた山という山は皆白く、峰という峰も白皚々はくがいがいと空の蒼さに溶けもせず静寂の谷間を見守っている。
蔦葛木曽棧 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)