畏服いふく)” の例文
しかし自分達が何様扱われるかは更に測り知られぬので、二人は畏服いふくの念の増すに連れ、愈々いよいよ底の無い恐怖に陥った。
雪たたき (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
この界隈かいわいでは厄介者視しているものが半分と、畏服いふくしているものが半分という勢力であることもすぐにわかりました。
梁中書りょうちゅうしょは、驚きのあまり、床を踏み鳴らして、そのはずみに、くつを飛ばした。沓は飛んで、報告のため、階下に畏服いふくしていた李成りせいの顔に当って落ちた。
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
その力量を信ずることだれよりも厚い名宰相伊豆守と、その明知に畏服いふくすることだれにもまさる名人右門とのやりとりは、意気も器量もぴたりと合って、つねにかくのごとくさわやかでした。
「丞相の神算は、つねに畏服いふくしているところですが、かかる電撃的な行動は、われらも初めて見るところでした」
三国志:11 五丈原の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)