画額ゑがく)” の例文
旧字:畫額
マドンナの画額ゑがくの上の輪飾になつてゐるのは玉葱である。懸時計の下に掛けてあるのは、あごき通した二十匹ばかりのにしんで、腹が銅色あかがねいろに光つてゐる。
白い蚊帳かやのついた寝台ねだい籐編とうあみの椅子と鏡台と洗面器の外には何もない質素な一室である。壁には画額ゑがくもなく、窓には木綿更紗もめんさらさ窓掛まどかけが下げてあるばかり。
海洋の旅 (新字旧仮名) / 永井荷風(著)