男鰥おとこやもめ)” の例文
子供の三人ある男鰥おとこやもめが子供の三人ある後家さんと結婚して又子供が三人出来たそうだ。都合九人さ。星野君のところより一人少い。
社長秘書 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
先年妻を先立たせて以来、側室そばめも置かない男鰥おとこやもめ生活くらし、それだけ真面目な人物であったが、娘を愛する心持ちは、人いちばいすぐれていた。
あさひの鎧 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
彼は妙に落着きがなくなり、大抵の男鰥おとこやもめがそうであるように、だんだん疑い深くなり、吝嗇けちくさくなって行った。
型通りキチンと置いてあり、ふすま、畳等も汚れ目がなくて、殺風景な男鰥おとこやもめ所帯らしく見えないのは、主人のたしなみもであるが、亡くなった細君の人柄もしのべるようである。
細雪:03 下巻 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
この先の五丁目次郎兵衛だなに同じく小物渡世で与惣次よそうじという四二やく近い男鰥おとこやもめが住んでいて、たいして別懇でこそなけれ、藤吉も彦兵衛も勘次も朝夕顔を見れば天気の挨拶位は交す仲だった。
「いや俺は構わん。俺はもう何うせ老人だし、男鰥おとこやもめだ。君の髪の毛の引立役を勤めてやるよ」
人生正会員 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
男鰥おとこやもめだから、生憎と御接待が出来ない」
ガラマサどん (新字新仮名) / 佐々木邦(著)