“田舎染”の読み方と例文
読み方割合
いなかじ100.0%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
なんだか田舎染いなかじみて見える。小野さんは光沢つやの悪い先生の顔から眼を放して、自分の膝元を眺めた。カフスは真白である。
虞美人草 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
四人が茶をんで待ち合わしているあいだに、骨上こつあげの連中が二三組見えた。最初のは田舎染いなかじみた御婆さんだけで、これは御仙と千代子の服装に対して遠慮でもしたらしく口数を多くかなかった。
彼岸過迄 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
不思議に思ったのは、宿へ着いた時の取次も、晩食ばんめしの給仕も、湯壺ゆつぼへの案内も、床を敷く面倒も、ことごとくこの小女一人で弁じている。それで口は滅多めったにきかぬ。と云うて、田舎染いなかじみてもおらぬ。
草枕 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)