生生なまなま)” の例文
老宰相は夫人がつかまえられたことを見届けると床の板を剥いだ。床の下にはに包んだ悪僧の死骸があった。被には生生なまなましい血の斑点があった。
悪僧 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
恐らく彼等の間に所謂いはゆる天才はすくないであらう。しかし彼等は僕等と同じ呼吸をして居る生生なまなましい現代人である。
巴里より (新字旧仮名) / 与謝野寛与謝野晶子(著)
と歌つた小出こいでの林は、その頃から既に伐採されて、楢や櫟の木が無慘に伐られ、白日の下に生生なまなましい切株を見せて居たが、今では全く開拓されて、市外の遊園地に通ずる自動車の道路となつてる。
宿命 (旧字旧仮名) / 萩原朔太郎(著)
野蛮人のやうな生生なまなました原始的の驚きに充たされて居る。
愛の詩集:03 愛の詩集 (新字旧仮名) / 室生犀星(著)
そして生生なまなましい土の愛により
女はそれを見るとバケツの中へ手を入れて中の物をつかみ出して投げた。それはなんの肉とも判らない血みどろになった生生なまなましい肉のきれであった。
蟇の血 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
野蛮人のやうな生生なまなました原始的の驚きに充たされて居る。