猶太人ユダヤじん)” の例文
売り惜んだ彼が最後に気に入りの蒐集品しゅうしゅうひんで部屋の中を飾った。それでも狭い部屋の中は一ぱいで猶太人ユダヤじんの古物商の小店ほどはあった。
食魔 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
しかし今になつて考へて見ると、最も内心に愛してゐたのは詩人兼ジヤアナリストの猶太人ユダヤじん——わがハインリツヒ・ハイネだつた。
ヘロドタスの説に従って見ますと猶太人ユダヤじんはエジプトを去る以前から夜中やちゅう死骸をさらされることを痛くみ嫌ったように思われます。
吾輩は猫である (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
あなたはいゝ投資の土地をさがしてる猶太人ユダヤじんだと私のことをお思ひですか。私そんなものより寧ろあなたのありつたけの信頼を得たいと思ひます。
放逐、放逐、声は一部の教師仲間の嫉妬しつとから起つた。嗚呼、人種の偏執といふことが無いものなら、『キシネフ』で殺される猶太人ユダヤじんもなからうし、西洋で言囃いひはやす黄禍の説もなからう。
破戒 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)
両親とも猶太人ユダヤじんで、父は其処で官吏をつとめてゐた。七歳から十三歳までは東プロシアのケニヒスベルグの祖母の許で育つた。その当時の小さなエンマはまつたくドイツの雰囲気になづんでゐた。
乞食の名誉 (新字旧仮名) / 伊藤野枝(著)
ノルヱーの彷徨ふ猶太人ユダヤじん等は
で、その婦人は、あたか往時わうじ猶太人ユダヤじんが病人をベテスダの池に送つたやうに、この娘の病氣をなほす爲めにこの學校へ送られたのである。で、私から先生方にも學監にもお願ひしたい。