“物干竿（ものほしざを）” の例文
太く逞（たくま）しい物干竿（ものほしざを）を外して、洗濯物を縁側へ投り出したまゝ、ためつすかしつ釣竿（つりざを）屋が釣竿を試すやうなことをして居りました。
銭形平次捕物控：163 閉された庭 (旧字旧仮名) ／ 野村胡堂(著)
庭に出て高い枝を見あげましたが、物干竿（ものほしざを）だつてとどきさうにはありません。もし、も一度とんだら、どこまで逃げて行くかわかりません。
かぶと虫 (新字旧仮名) ／ 槙本楠郎(著)
台所の方（はう）へ走（はし）つて来た貢さんは、其処に阿母さんが見えないので、草履を穿（は）いて裏口（うらぐち）から納屋の後（うしろ）へ廻つた。阿母さんは物干竿（ものほしざを）に洗濯物を通して居る。
蓬生 (新字旧仮名) ／ 与謝野寛(著)
初霜や物干竿（ものほしざを）の節（ふし）の上（うへ）
自選　荷風百句 (新字旧仮名) ／ 永井荷風(著)
節を拔いた物干竿（ものほしざを）を誤魔化（ごまか）すためにあの騷ぎがあつた後は滅茶々々に洗濯物を掛けて居たのさ——おれはそれを見ると何も彼も判つたよ。
銭形平次捕物控：163 閉された庭 (旧字旧仮名) ／ 野村胡堂(著)
「物干竿（ものほしざを）の歌松と言はれたノツポですよ、五尺八寸はあるでせう」
銭形平次捕物控：170 百足屋殺し (旧字旧仮名) ／ 野村胡堂(著)