熾盛しせい)” の例文
大日向の本願は、老少善悪のひとを選ばれず、ひたすら信心の心あついものをいとしみ給ふ。煩悩ぼんなう熾盛しせいの衆生をたすけ給はんが為の御心にてまします。
浮雲 (新字旧仮名) / 林芙美子(著)
何にせよ源護の方でも鬱懐あたはずしてこゝに至つたのであらうし、将門の方でも刀を抜いて見れば修羅心熾盛しせいになつて、遣りつけるだけは遣りつけたのだらう。
平将門 (新字旧仮名) / 幸田露伴(著)
しかしながら罪を感ずる心はまたやがて神を求める心でなかろうか。罪悪深重、煩悩熾盛しせいの私たちがあればこそいよいよ仏の大悲大願のほども知られるのではなかろうか。
語られざる哲学 (新字新仮名) / 三木清(著)
弥陀みだの本願には、老少善悪のひとをえらばれず、たゞ信心を要とするべし。その中へは、罪悪深重、煩悩ぼんなう熾盛しせい衆生しゆじやうをたすけんがための願ひにまします。
浮雲 (新字旧仮名) / 林芙美子(著)