無拠よんどころなく)” の例文
旧字:無據
尚如何にしても叺を見出す事能わざるを以て、無拠よんどころなく大声を発して遠き畑に在るの利太郎を呼びて、漸く蕨を入れたる叺を見出したる事あり。
関牧塲創業記事 (新字新仮名) / 関寛(著)
将は随分と心得も有之ものにて御座候にくみ候程のものにて之無様に被存候、御前(斉興公)之御都合之言に言れぬ事も有之、将之評判無拠よんどころなく請け候儀も有之候
南国太平記 (新字新仮名) / 直木三十五(著)
「得意ざきへ物買に行ごとく、用事ばかり申上候事、思召も恥入候。然ども外にはいたしかた無之、無拠よんどころなく御頼申上候。これまた前世より之ごふなどと思召、御わきまへ被下度奉願上候。」
伊沢蘭軒 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
無拠よんどころなく教程を鵜呑うのみにする結果は知識に対する消化不良と食慾不振である。
お鉄が無拠よんどころなく外出する時には、乾漢こぶんをして見張らせるので有った。
死剣と生縄 (新字新仮名) / 江見水蔭(著)
近年は無拠よんどころなく、蓬の代りに青粉と申すを買ひまして、舂きまする。
政治の破産者・田中正造 (新字旧仮名) / 木下尚江(著)
無拠よんどころなく不束ふつつかをも申候まをしさふらふ次第に御座候。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)