為送しおくり)” の例文
旧字:爲送
香以は店を継母に渡し、自分は隠居して店から為送しおくりを受けることとし、妾鶴にはいとまり、妻ふさとせがれ慶次郎とを連れて、浅草馬道の猿寺さるでら境内に移った。
細木香以 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
猿寺の侘住わびずまいに遷った香以は、山城河岸の店から受ける為送しおくりの補足を売文の一途に求めた。河竹新七の紹介に由って、市村座の作者になり、番附に梅阿弥の名を列する。
細木香以 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
しかしまさかうつつの意識でそれを信ずる程の詩人にもなれなかった。余程年が立ってから、僕は偶然この娘の正体を聞いた。この娘はじきあの近所の寺の住職が為送しおくりをしていたのであった。
ヰタ・セクスアリス (新字新仮名) / 森鴎外(著)