為山いざん)” の例文
そのほか君の前に書画帖を置いて画をふ者あれば君は直に筆をふるふて咄嗟とっさ画を成す。為山いざん氏の深思熟考する者と全く異なり。
墨汁一滴 (新字旧仮名) / 正岡子規(著)
やはり『ホトトギス』の裏絵をかく為山いざんと云う男があるがこの男は不折とまるで反対な性で趣味も新奇な洋風のを好む。
根岸庵を訪う記 (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
折節帰省中であった下村為山いざん君を中心として俳句の研究をしつつあった中村愛松あいしょう、野間叟柳そうりゅう伴狸伴ばんりはん、大島梅屋ばいおくらの小学教員団体が早速居士の病床につめかけて俳句の話を聞くことになった。
漱石氏と私 (新字新仮名) / 高浜虚子(著)
藤次郎は子之助時代に鯉角りかくと号し、一に李蠖りかくとも署していたが、家を継いだ後、関為山いざんから梅の本の称を受け、更に晋永機しんえいきに晋の字を貰い、自ら香以と号し、また好以、交以、孝以とも署した。
細木香以 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
羽後うご能代のしろの雑誌『俳星』は第二巻第一号を出せり。為山いざんの表紙模様はふきの林に牛を追ふ意匠斬新ざんしんにしてしかも模様化したる処古雅、妙いふべからず。
墨汁一滴 (新字旧仮名) / 正岡子規(著)
その頃為山いざん君と邦画洋画優劣論をやったが僕はなかなか負けたつもりではなかった。
(新字新仮名) / 正岡子規(著)