為吉ためきち)” の例文
夜半よなかに一度、隣に寝ている男の呻声うめきごえを聞いて為吉ためきちは寝苦しい儘、裏庭に降立おりたったようだったが、昼間の疲労つかれで間もなく床に帰ったらしかった。
上海された男 (新字新仮名) / 牧逸馬(著)
外から帰って来た為吉ためきちは、縁側に網をすいている父親の姿を見るや否や、まだ立ち止らない中にこう言いました。この為吉の言葉に何の意味があるとも思わない父親は
少年と海 (新字新仮名) / 加能作次郎(著)
「だって、乗っていったボートが戻ってこないじゃあないか。おい、早く裏の為吉ためきちを呼んでこい! 磯公いそこうを呼んでこい。宝沢が兜岩へ行っているんだ! ぐずぐずするな! 時化しけが来てるぞ!」
暴風雨に終わった一日 (新字新仮名) / 松本泰(著)
権三郎の下職したじょく為吉ためきちというひょうきんな男が下で手を振った。
梅里先生行状記 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
為吉ためきちは息まいていった。
梅里先生行状記 (新字新仮名) / 吉川英治(著)