灌頂かんちょう)” の例文
政宗は政宗で、むし此処ここが政宗の好い処である。脇指は如何に長くても脅かしにはならぬ、まして一坐の者は皆血烟ちけむりの灌頂かんちょう洗礼を受けている者達だ。
蒲生氏郷 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
法然はもと天台の真言を習っていた。これは叡山に修学の当然であるが、中川の阿闍梨実範じちはんが深く法然の法器に感じて許可灌頂かんちょうを授け一宗の大事を残りなく伝えられた。
法然行伝 (新字新仮名) / 中里介山(著)
「おや/\、塔婆とうばも一本、流れ灌頂かんちょうと云ふ奴だ。……大変なものに乗せるんだな。」
光籃 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
さらば此場において、先ず山の座主ざすから一人一人灌頂かんちょうの儀式を行うてとらせようか。
邪宗門 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
御所は、灌頂かんちょう堂に。
私本太平記:12 湊川帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
日がるに従って、信者になる老若男女ろうにゃくなんにょも、追々数を増して参りましたが、そのまた信者になりますには、何でも水でかしらぬらすと云う、灌頂かんちょうめいた式があって、それを一度すまさない中は
邪宗門 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)