澎湃はうはい)” の例文
其勇ましいうめきの声が、真上の空をつんざいて、落ちて四周あたりの山を動し、反ツて数知れぬ人のこうべれさせて、響のなみ澎湃はうはいと、東に溢れ西に漲り、いらかを圧し
漂泊 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
今日もなほ氏の「雑感」を読み返すと、常に昔の澎湃はうはいとした興奮が、一種のなつかしさと共に還つて来る。
あの頃の自分の事 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
しかしてわが立てる脚下の大溪潭は、まさに是れ數十のらい、數十のたんを合せたるものと稱すべく、沈々として流れ來りたる碧き水の、忽ち河中の一大奇巖に逢ひて、鞺々だう/\澎湃はうはいの趣を盡したる
秋の岐蘇路 (旧字旧仮名) / 田山花袋(著)
しかし光のもやに似た流は、少しもその速力をゆるめない。反つて目まぐるしい飛躍の中に、あらゆるものを溺らせながら、澎湃はうはいとして彼を襲つて来る。彼はつひに全くそのとりこになつた。
戯作三昧 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
澎湃はうはいとした潮流となつた。
小説新論 (新字旧仮名) / 田山花袋田山録弥(著)