潮來いたこ)” の例文
新字:潮来
それは山上の湖、これは例の『あやめ咲くとはしほらしや』の唄で潮來いたこあたりの水の上を船で𢌞つたも同じく初夏の頃であつた。
「先の旦那樣が亡くなつた時、支配人の孫六さんが潮來いたこからお呼寄せになつて、御親類方にもちやんと御挨拶をして家督に直りました。へエ」
水郷と言へばすぐ潮來いたこを連想するほど、潮來は水郷として有名ではあるが、あやめが咲いて十二橋の袂に水樓のあつた昔はしらず、私が見た十七八年前の潮來でさへ
砂がき (旧字旧仮名) / 竹久夢二(著)
梅の花咲きも咲かずも川舟の潮來いたこの見ゆるこの岡うるはし
長塚節歌集:1 上 (旧字旧仮名) / 長塚節(著)
「鳶頭に聽くと、菊屋の關係の者で、恐ろしく背の高いのは、潮來いたこに居る勘當された若旦那の傳四郎ださうですよ」
でも、岡崎屋の若旦那が潮來いたこから歸つて來て、房州からお文を呼寄せ、嫁にする氣になつたのは嬉しいことだよ。
「ところでお孃さん、若旦那が潮來いたこから歸らなきや、岡崎屋の血續の者といふとお前さんたつた一人だ。——この家に住んで淋しいやうなことはありませんか」
矢張り潮來いたこから歸れないことになり、岡崎屋の家督は娘のお琴に婿を取つて繼がせることにし、半九郎はそのまゝ支配人として留ることに決定しかけた時でした。
其處へ、不意に唐紙を開けて入つて來たのは、昨日ガラツ八が潮來いたこからつれて來た乳母うばのお元でした。
伜は勘當されて潮來いたこに居るし、許婚いひなづけのお延は、下女のやうにコキ使はれて居るし、居候の清五郎は娘のお吉と娶合めあはせさうにして、給金のない奉公人見たいに働かせるし
さてあの翌る日は、俺が川を搜すと觸れて廻つたので、前の晩元吉に舟を出させて、目印しの場所から五百兩の小判を取出したのだ。潮來いたこで育つたお銀は、海女あまのやうに川を潜る
「それが大變なんで。目黒から本所へ越して、潮來いたこへ流れて行つたのを、漸く搜し當てたは宜いが、まだ四十六だといふのに、恐ろしいけやうで、自分の名前もろくに覺えちやゐませんよ」
「いづれ潮來いたこから若旦那の傳四郎樣をお呼びすることになりませう」
「あれは潮來いたこ生れで、人魚のお銀と言はれた大變な女ですよ」
かき集めて見よう。若主人の半次郎は先代の主人が達者でゐる頃は、道樂が強くて潮來いたこへ追ひやられてゐた筈だ。近頃はさすがに一家の主人だから、馬鹿なこともしないだらうが、それでも一應は當つて見るがいゝ