漬物桶つけものおけ)” の例文
おやそさんが、漬物桶つけものおけと同居して死んだ時、十本の指に十本、手首にも結びつけていたひもがある。その紐はみんな寐床の下から出ていた。
漬物桶つけものおけへ手を入れたりすることをっているのであったが、お島が一人で面白がってやっている顧客とくいまわりも、集金の段になってくると
あらくれ (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
入口の土間にはバケツや漬物桶つけものおけやかめなどがごたごたと置かれ、部屋の棚には洗った飯櫃おひつや箱や新聞で包んだいろいろなものが一ぱい載せられていた。
くぼんだ浅い横穴じゃ。大きかったといいますよ。正面に幅一けんばかり、もっとも、この辺にはちょいちょいそういうのを見懸けます。背戸せどに近い百姓屋などは、漬物桶つけものおけを置いたり、青物をけて重宝ちょうほうがる。
春昼 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
毎年旅館は決まっていて、六月の半ば過ぎになると、早くも幾梱いくこりかの荷物が出入りの若衆の手で荷造りされ、漬物桶つけものおけを担ぎ出さないばかりの用意周到さで同勢上野へ繰り出すのであった。
縮図 (新字新仮名) / 徳田秋声(著)