漢意からごころ)” の例文
『直毘の霊』の中にはまた、中世以来の政治、あめしたの御制度が漢意からごころの移ったもので、この国の青人草あおひとぐさの心までもそのこころに移ったと嘆き悲しんである。
夜明け前:02 第一部下 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
たといそれがやむにやまれぬ慨世がいせいのあまりに出た言葉だとしても、天子をさしはさむというはすなわち武家の考えで、篤胤の弟子でしから見れば多分に漢意からごころのまじったものであることは争えなかった。
夜明け前:02 第一部下 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
この二つは元来同じものではない。名高い弘道館の碑文にもあるように、神州の道を敬い同時に儒者の教えをもあがめるのが水戸の傾向であって、国学者から見れば多分に漢意からごころのまじったものである。
夜明け前:01 第一部上 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
武家の学問は多分に漢意からごころのまじったものだからである。たとえば、水戸の人たちの中には実力をもって京都の実権を握り天子をさしはさんで天下に号令するというを何か丈夫の本懐のように説くものもある。
夜明け前:02 第一部下 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)