漢川かんせん)” の例文
と、それへも兵三千をあずけ、さらに、董襲とうしゅうへは、漢陽から漢川かんせん方面に行動させ、また潘璋はんしょうへも同様三千人を与えて、漢川方面への突撃を命じた。
三国志:08 望蜀の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
加うるに、従来、漢川かんせんの民、戸数十万に余り、財ゆたかに糧はみち足り、四山谿流、道は嶮岨けんそにして、一夫これを守れば万卒も通るを得ず、と古来からいわれておる。
三国志:08 望蜀の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
彼の率いた一万騎は、漢川かんせんを風靡した。しかし、よく軍令を守って、少しも略奪や殺戮さつりくの非道をしなかったので、行く先々の軍民は、彼の旗をのぞんでみな降参して来た。
三国志:09 図南の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
こうして彼の領有は、一躍、四川しせん漢川かんせんの広大な地域を見るにいたり、いまや蜀というものは、江南の呉、北方の魏に対しても、断然、端倪たんげいすべからざる一大強国を成した。
三国志:09 図南の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
荊州の危うきときは、漢川かんせん危殆きたいに瀕し、漢川を失えば蜀もまた窒息ちっそくのやむなきに至りましょう。いずれにせよ、長江波高き日は、玄徳が一日も安らかに眠られない日です。
三国志:09 図南の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
故劉表に託されて、自分は常に漢川かんせんの境を守り、もし、外敵の侵攻あるとも、一歩も敵に主君の地は踏ませじ——と誓っていたのに、事志とたがい、遂に、今日の現実に直面するに至りました。
三国志:07 赤壁の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)