ほと)” の例文
かりに己が此のフィルムの製造せられる北部伊太利イタリーのミラノの近傍、———あるいはアルプスの山のふもと、或いはコモの湖水のほとりに生れたとする。
小僧の夢 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
いずれも海のほとりに近く立っているということを、ややおろそかに考える風が久しく続いたが、日本が島国であり、海を渡ってきた民族である限り、是はいつかは補強せらるべき弱点であって
海上の道 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
池の茶屋というのは、この冷い水のほとりに建てられたるただ一軒のあばら家である。入口の腰障子を開けて入ると、すぐ大きな囲炉裡がある。囲炉裡の中には電信柱ほどもある太い薪木がくすぶっている。
白峰の麓 (新字新仮名) / 大下藤次郎(著)
彼池のほとりの一刹那いっせつなを思うては、戦慄せんりつせずには居られません。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)