温湯)” の例文
こんな平凡な光景でも、時として私の心に張りつめた堅い厚い氷の上に、一きく温湯を注ぐような効果があるように思われる。
柿の種 (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
事露見して十一月五日却って赤兄のためにとらえられ、九日紀の温湯行宮あんぐうに送られて其処で皇太子中大兄の訊問じんもんがあった。
万葉秀歌 (新字新仮名) / 斎藤茂吉(著)
天皇の十一年十二月伊豫の温湯みやに行幸あったから、そのついでに讃岐安益郡(今の綾歌あやうた郡)にも立寄られたのであっただろうか。「時じみ」は非時、不時などとも書き、時ならずという意。
万葉秀歌 (新字新仮名) / 斎藤茂吉(著)