清掃せいそう)” の例文
季節はもう武蔵野むさしの名物の黒つむじがきあげるころで、朝夕の清掃せいそうにはとりわけ骨が折れたが、同時に水がぬるみ、雑巾ぞうきんをしぼる手がかじかむようなこともほとんどなくなっていた。
次郎物語:05 第五部 (新字新仮名) / 下村湖人(著)
あらゆる神社の境内けいだいは枯葉一枚ものこさず清掃せいそうされていた。それが国民生活だと大吉たちは信じた。しかし、山へどんぐりを拾いにゆき、にがいパンを食べたことだけは、いやだった。
二十四の瞳 (新字新仮名) / 壺井栄(著)
ところが彼は問題を惹起ひきおこさずにいられないことになったというのは、幾度いくたびもマリ子に、痔の清掃せいそうを命じているうちに、いままでのあらゆる彼の暴令に、唯の一度もいやな顔を見せたことのない彼女が
西湖の屍人 (新字新仮名) / 海野十三(著)
もなく、清掃せいそうした社家しゃけ客殿きゃくでんへ、錦繍きんしゅうのしとねがおかれた。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
そのあと、八時から正午まで、「郷土社会と青年生活」という題目で、朝倉先生の講義があり、午後は屋外清掃せいそうと身体検査、夜は読書会や室内遊戯ゆうぎなどで、開塾第一日の行事が終わった。
次郎物語:05 第五部 (新字新仮名) / 下村湖人(著)
ゆうべの懇談会で分担ぶんたんをきめ、かれら自身の室はもとより、建物の内部を、講堂や、広間や、便所にいたるまで、全部清掃せいそうすることに申し合わせていたので、かれらも、まがりなりにも責任だけは
次郎物語:05 第五部 (新字新仮名) / 下村湖人(著)