淵川ふちかは)” の例文
胸に燃ゆる情のほのほは、他を燒かざれば其身をかん、まゝならぬ戀路こひぢに世をかこちて、秋ならぬ風に散りゆく露の命葉いのちば、或は墨染すみぞめころも有漏うろの身をつゝむ、さては淵川ふちかはに身を棄つる
滝口入道 (旧字旧仮名) / 高山樗牛(著)
もしこれが誘拐いうかいでなしに、自発的だとすれば、何処かの淵川ふちかはにでも身を投げやしないか。世間でも何も知らないけれど、その奥に何かこんがらかつた事情があつたのではないか。
ある僧の奇蹟 (新字旧仮名) / 田山花袋(著)
そんな目に逢ふくらゐなら、淵川ふちかはへ身を投げて死ぬか、一生奉公しても借金を返します。でも主人は幾度も/\念を押して、丸窓はきつと開けて置く、その氣になつたら忍んで來い——と言ひました
銭形平次捕物控:130 仏敵 (旧字旧仮名) / 野村胡堂(著)