淫乱いんらん)” の例文
旧字:淫亂
実に立派な口上を有仰おつしやいましたでは御座いませんか、それ程義のお堅い貴方なら、何為なぜこんな淫乱いんらん人非人にんぴにん阿容おめおめけてお置き遊ばすのですか。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
(にやりと笑って)すごい腕だ。おそれいりましたよ。私が毛虫なら、あなたはへびだ。淫乱いんらんだ。女郎だ。みんなに言ってやる。ようし、みんなに言ってやる。
冬の花火 (新字新仮名) / 太宰治(著)
今だって、カゲじゃどんなことをしているか、こいつの淫乱いんらんと来たら——
胎内 (新字新仮名) / 三好十郎(著)
痛ましい獣的な淫乱いんらんだ。ドイツの頽廃たいはいの底にうなってる、殺害や強姦ごうかんや不倫や犯罪などの熱狂だ……。そして、君たちのほうには、フランスの頽廃のうちにうめいてる、逸楽的な自殺の発作がある……。
この男はその上、あまりといえば不愉快で、この上ない淫乱いんらんものらしく、きっと狡猾こうかつな嘘つきに相違ない。あるいは、恐ろしく悪意の強い人間かもしれない。彼については大変な噂が行なわれている。
ただもう「ふとした事」で恋愛が成立するものとしたら、それは実に卑猥ひわいな世相になってしまうであろう。恋愛は意志に依るべきである。恋愛チャンス説は、淫乱いんらんに近い。
チャンス (新字新仮名) / 太宰治(著)
「ばからしい。あなたみたいな淫乱いんらんじゃありませんよ。」
グッド・バイ (新字新仮名) / 太宰治(著)