涼夜りょうや)” の例文
そして、水のせせらぐ一亭に夕蚊遣ゆうかやりして、夜食を共にし、その後も、杯だけをお互いの前に残して、涼夜りょうやをくつろいだ。
私本太平記:02 婆娑羅帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「まことに。涼夜りょうやの一杯は、生けるしるしありとか言いますな。心ゆくまでいただきましょう」
私本太平記:12 湊川帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
大寨たいさいの初秋は、水清く、山うるわしく、また酒が美味うまかった。宋江はよく晁蓋ちょうがいと時事を語り、また涼夜りょうや灯火ともしびっては、書窓の下にかの三巻の天書をひもどき、呉用とともにその研鑽けんさんふけっていた。
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)