消耗しょうこう)” の例文
二三十秒の現状を維持するに、彼等がどれほどの気魄きはく消耗しょうこうせねばならぬかを思うとき、る人は始めて残酷の感を起すだろう。
思い出す事など (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
東京のがやがやした綺羅きらびやかな境界きょうがいに神経を消耗しょうこうさせながら享受する歓楽などよりもはるかうれしいことと思っていた。
蘆声 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
ただ矛盾から出る一目的の消耗しょうこうと解釈していた。これをせんじ詰めると、彼は普通に所謂いわゆる無目的な行為を目的として活動していたのである。
それから (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
健三よりも七つばかり年上な彼の半生は、あたかも変化を許さない器械のようなもので、次第に消耗しょうこうして行くより外には何の事実も認められなかった。
道草 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
一代の画工が精力を消耗しょうこうして変化を求めた顔でも十二三種以外に出る事が出来んのをもってせば、人間の製造を一手いって受負うけおった神の手際てぎわは格別な者だと驚嘆せざるを得ない。
吾輩は猫である (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
どんなに精力を消耗しょうこうする仕事でもいいから、もう少し積極的に身体からだを働らかしたく思った。
(新字新仮名) / 夏目漱石(著)