沢庵漬たくあんづけ)” の例文
旧字:澤庵漬
老外人の夫妻は、彼らと同じように、割麦の大部分な日本米を食べ、鯨油げいゆをたらしたまずい野菜汁をすすり、沢庵漬たくあんづけをも噛んだ。
かんかん虫は唄う (新字新仮名) / 吉川英治(著)
帆柱を立てる腕木をり抜いたり、船の底から丈夫な糸で吊したり、沢庵漬たくあんづけの肉をえぐって詰め込んだり、飯櫃めしびつの底を二重にしていたりする。
爆弾太平記 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
それから又、胴のには、沢庵漬たくあんづけ鰌桶どぢやうをけへつめたのが、足のふみ所もない位、ならべてある。慣れない内は、その臭気を嗅ぐと、誰でもすぐに、吐き気を催した。
(新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
女は茶棚の中から沢庵漬たくあんづけを山盛りにした小皿と、茶漬茶碗と、それからアルミの小鍋を出して、鳥渡ちょっとふたをあけて匂をかぎ、長火鉢の上に載せるのを、何かと見れば薩摩芋さつまいもの煮たのである。
濹東綺譚 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
干鯣するめを持ったり、沢庵漬たくあんづけをかじったりして、慰労の酒に、兵たちが、はしゃぎ出した。
松のや露八 (新字新仮名) / 吉川英治(著)