汲分くみわ)” の例文
「叔母もそれでこうつらく当るのだな」トその心を汲分くみわけて、どんな可笑しな処置振りをされても文三は眼をねむッて黙ッている。
浮雲 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
そこをすこしでも汲分くみわけてお出でなら、仮令たとえどんな辛いと思う事が有ッてもいやだと思う事があッても我慢をしてサ、石に噛付かじりついても出世をしなくッちゃアならないと心懸なければならないとこだ。
浮雲 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
叔母ですら愛想あいそを尽かすに、親なればこそ子なればこそ、ふがいないと云ッて愚痴をも溢さず茶断までして子を励ます、その親心を汲分くみわけては難有泪ありがたなみだに暮れそうなもの、トサ文三自分にも思ッたが
浮雲 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)