水面みづも)” の例文
水面みづもをふるはす風の吐息は毛程もなく、澄むが儘に澄むだ水底は、紺碧に晴れ渡つた空の色をその儘にくつきりと写してゐた。
嘆きの孔雀 (新字旧仮名) / 牧野信一(著)
が、左右前後を見廻しても、曲者らしい者は一人も居ず、辰三がたつた一人、水面みづもを眺めてぼんやりして居るのです。
と、左手ひだりてはう人家じんか燈灯ともしびがぼんやりひかつてゐた——Fまちかな‥‥とおもひながらやみなか見透みすかすと、街道かいだう沿うてながれてゐるせま小川をがは水面みづもがいぶしぎんのやうにひかつてゐた。
一兵卒と銃 (旧字旧仮名) / 南部修太郎(著)