水洟みずっぱな)” の例文
おおかたは水洟みずっぱなをすすっているような老人であるのも、そこに移り行く世のすがたが思われて、一種の哀愁を誘い出さぬでもない。
半七捕物帳:54 唐人飴 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
そうして電話がかかるたんびに水洟みずっぱなをススリ上げススリ上げ立上っていたが、その電話を本署に取次いでいるうちに……遭難した倉川家の若い男爵は
老巡査 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
ひどい藪瞶やぶにらみが一人、笑ったような顔をしたのが一人、最後の人物などは、ひどく咳をし、水洟みずっぱなを流し、時々ギクッ、ギクッとはげしい痙攣を起こすんだ。
片方は水洟みずっぱなをすすってぶつぶつ口小言を云ったりしながら、彼らはしだいに湖のほうへと遠ざかっていった。
蜆谷 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
と文治のあさましき姿を見ては水洟みずっぱなすゝって居ります。
後の業平文治 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
甚だしいのになると、何だか水洟みずっぱなでもシタタリ落ちそうで、今些しで泣き笑いにでもなろうかという、極度に悲観した心理状態を見せているものさえあります。
鼻の表現 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
権頭が胴震いをして水洟みずっぱなをひっこする。
と片方が水洟みずっぱなをすすりながら云った。
蜆谷 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
水洟みずっぱなを横撫でにして
花も刀も (新字新仮名) / 山本周五郎(著)