水棹みさを)” の例文
海向ひの村へ通ふ渡船は、四五人の客を乘せてゐたが、四角な荷物を脊負うた草靴わらぢ脚袢きやはん商人あきんどが驅けて來て飛び乘ると、頬被りした船頭は水棹みさをで岸を突いて船をすべらせた。
入江のほとり (旧字旧仮名) / 正宗白鳥(著)
水棹みさをとれ、土橋どばしくぐれ、鳰鳥の火のあたま、いま夕日、それとかかれと、我が仰ぐやかた築地ついぢ、濠めぐるここをよろしと、采配やささとかかれと、前うちの金の鍬形、紙鎧、桜縅の大将我は。
夢殿 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)