気怠けだ)” の例文
娘の憂愁が私にも移ったように、物憂く、気怠けだるい。そしていつ爆発するか知れない焦々したものがあって、心を一つに集中させない。
河明り (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
そう思うと、にわかに、そのように見えて来るむなしかった一ヶ月の緊張の溶け崩れた気怠けだるさで、いつか彼は空を見上げていた。
微笑 (新字新仮名) / 横光利一(著)
代りに自分で自分の体重を支えなくてはならない妙な気怠けだるさを感じ出しました。これが物事にめるとか冷静になったとかいうことでしょうか。
生々流転 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
そして銀座の散歩も、もう歩き足り、見物し足りた気怠けだるさを、落した肩と引きずる靴の足元に見せはじめた。
母子叙情 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)