殺刀さっとう)” の例文
遂げえぬ悪魔の恋は、必然な、破れかぶれに変ったのである。殺刀さっとうもと魂切たまぎらすことによって、永い間の鬱怨うつえんを思い知らせてやろうとする。
鳴門秘帖:05 剣山の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
卜斎ぼくさいの足の拇指おやゆびが、まむしのように、ジリジリとたたみをかんでつめよってくるのに、なんで、鞍馬くらま竹童ちくどう、ジッと、その死剣しけんを待っていられるものか。そんな無意義むいぎ殺刀さっとうにあまんじる理由があろうか。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)