死穢しえ)” の例文
殊にあの十六人の女たちは、いずれも死穢しえを隠すために、巧な紅粉こうふんを装っている、屍骨しこつのような心もちさえした。
素戔嗚尊 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
たとえば、死穢しえに触れたとなると、三十日のいみを最上とし、少なくも、七日は、祓除をしなければならない。
平の将門 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
高齢の人が大病になっていてはいつ死穢しえの家になるかもしれぬと不安がり、迷惑そうにかげで言っているのを聞き、道理なことであると気の毒に思われたし、またその家は狭く、座敷もきたないため
源氏物語:55 手習 (新字新仮名) / 紫式部(著)
「むずかしいらしい。思いがけぬ死穢しえに触れることになって、われわれはここから出られなくなるだろうし、身分のある人らしく思われるから、死んでもそのまま捨てることはならないだろう。困ったことにかかり合ったものだ」
源氏物語:55 手習 (新字新仮名) / 紫式部(著)